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最近のおれは、心がちょっと糖尿気味だ。
もちろん、体もだ。
だけど、別に俺はスイーツ男子ってわけじゃない。
別に甘いものは嫌いじゃないけど、
セットに付いて来たら食べるって程度だ。
わざわざデザートとしては頼まないし、
休日にスイーツの店に行ったりもしない。
でも、誰かに貰えば喜んで食べる。
そんな俺が自発的に買うって時は、
コンビニに寄った時にたま~に気まぐれでだ。
でそんなヤツが、何故に糖尿気味なのかって?
理由はちょー簡単。
最高のクリームを乗せてくれる、最高のケーキを出すお店があるからだ。
たいだい一度に三つが四つ買って、
一度でペロリと平らげてしまう。もう時間と金が許す限り買ってる。
パティシエの腕がいい?
素材に拘ってる?
何代も続く名店?
いやいや、そんなもんはねぇよ。
正直、極々平均的なお店だよ。
地元の人に親しまれてはいるけど、何か特別があるってわけじゃない。
味もそれなりに美味いのもあるし、微妙なのもある普通の店だ。
そう。どこにでもある、ごくごく普通のケーキ屋だ。
でもさ。
この店のクリームがさ、もうすげー最高なんだよ。
ん?
さっき素材もパティシエの腕も普通だって言ったって?
そうだよ? 普通だよ?
だから。彼女の笑顔だよ。
もう最高なんだよ。
彼女の笑顔っていうクリームが、この店のケーキを超絶美味しくしてんだよ。
はぁ~⁉
何言ってんだ、お前っ!
アキバとかでだって、『萌え萌えキュンっ!』
とかやってんだろっ!
あれと一緒だろうがっ! あれで美味くなるだろうがっ!
もう最高なんだよ。
彼女の笑顔が乗ると、どんなケーキも極上のスイーツになるんだよなぁ。
新しい発見だよ。これは。
そう。そんなわけで、
俺は彼女にクリームを乗っけてほしいが故に、
しょっちゅうこの店に行ってんだよ。
で、このざま。
この店に通うようになって12キロも増えちったよ。
でも、後悔はねぇっ!
この(体の)重さは彼女への愛だからなっ!
それにっ! 俺をその辺のヘタレと一緒にするなよ?
俺は必ず彼女に告白するからな。
でもこれ以上体重が増えたらいかん。デブじゃ彼女に相応しくねぇからな。
そんなわけで、一刻の猶予もねぇ。
いいよな? 俺はやると言ったら必ずするぞ。
いいんだよな? よーし、やってやるぜっ!
…………いや、うん、今日は日が悪い。
だから、告白は明日にするわ。
だからさ、今日は取り敢えずケーキを買って帰ろう。
クリームをたっぷり乗せて貰ったケーキをさ。
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