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生い立ち
中学時代のあたしはとにかく荒れていた。
触れるものは全て切り裂く『狂犬のまどか』ってのはあたしのことだ。
男に混じって喧嘩に明け暮れる日々。
高校中退でフラフラしてたあたしは、年をごまかして夜の蝶をしていた。
そんなあたしにも転機が訪れた。
黒服の海斗と知り合って恋に落ち、20歳のときに優也が産まれた。
ボロアパートで肩を寄せあう親子三人暮らし。貧乏だけど幸せだった。
その幸せが崩れたのが半年前。
仕事上がりの海斗がバイクで事故った。
海斗の死を受け入れる間もなく、突然優也が喘息発作を起こした。
入退院を繰り返すうちにどんどん優也は痩せてちっこくなっていく。
やめてよ。海斗が居ないってだけで潰れそうなんだ。それでも優也のためにって踏ん張ってんだ。
この上優也まで連れていかれたら、あたしもう生きていけない……
あたしは簡易ベッドから降り、優也を抱き上げた。小さな優也はとんでもなく軽くて、フッと消えてしまいそうだった。
あたしは慌ててベッドのヘリに腰を下ろすと、優也をギュッと抱き締める。
(神様どうかこの子を連れていかないで。
どうしても命がいるなら、あたしの命をあげるから!)
ヒューヒューと喘ぐ優也の背中をさすりながら、あたしは一心に祈った。
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