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死神
カーテンがフワリと揺れた。
あたしは薄暗い病室で目を凝らす。
窓が空いていたのか?
月明かりが差し込む窓をじっと見ていると、不穏なシルエットが浮かび上がった。
「誰?」
思わず優也の体を抱き締める。
「なっ……」
ハタハタとたなびく黒い影が持っている、大きな鎌にあたしは目を奪われた。
『死神』
そんな言葉が脳裏を掠め、あたしは優也の体をきつく両手で締め付ける。
渡すもんか、渡すもんか、渡すもんか!
あたしは窓に映るシルエットを睨み付けた。
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