白い紐

1/1
前へ
/165ページ
次へ

白い紐

「来るな!」 駆け寄ろうとするあたしを海斗は強く制した。 「その紐が切れたら体に戻れなくなるぞ!」 あたしは自分の体を見回した。 足の先から白いロープみたいなものが延びている。 先を辿ると、床に転がっているあたしに繋がっていた。  よくみれば優也の体からも同様に白い紐が延びている。 「お前は今、魂が抜けてんだ! 早く体に戻れ!」 海斗が叫ぶ。  「折角2人分の魂が脱魂してるんだ。 2つとも頂いていくぜ!」 黒マントの男が鎌を振りかぶった。 「やめろ!」 海斗が黒マントに飛び付いて阻止する。 「邪魔をするなと言ってるだろうが!」 黒マントが銀色の霧のようなものを吐き出した。 「うあぁっ」 海斗が顔を押さえて悶えている。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

84人が本棚に入れています
本棚に追加