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反撃
霊体の軽い体は意のままに動く。
あたしは黒マントに向かって飛び上がった。
ロケット花火のように一直線に懐に入り込むと加速の勢いを殺さぬまま両手で黒マントの頭をつかみ、顔面に一撃膝蹴りをかます。
「グハッ!」
「あたしから海斗を奪ったのはお前か!」
空中で一回転し、よろける黒マントの胸にドロップキックを蹴り込んで体制を崩す。
「優也を苦しめてんのもお前の仕業か!!」
そのまま起き上がってこようとする黒マントの顎を狙って上段蹴りを放つ。
「優也を狙って、ただで済むと思うなよ!」
仰け反った黒マントは堪らず鎌から手を離した。
無重力空間のようにゆっくりと大鎌が宙を舞う。
「母親、なめんなぁぁっ!!」
夢中で飛び上がりその柄を掴むと、あたしはフルスイングで大鎌を振り切った。
「ドシュッ」
鎌を伝って確かな手応えを感じる。
黒マントからフードだけが弾けてとんだ。
首を跳ねられた黒マントはさらさらと黒い顆粒になって、月に吸い寄せられるように窓から消えていった。
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