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喘息発作
「ヒュー、ヒュー、ヒュー」
規則的な高い笛音にゴロゴロと痰の絡むような低い音が混じる。
あたしは苦しそうに身をよじる3歳の息子を背負って救急外来に飛び込んだ。
「数値が悪い。このまま入院しましょう」
当直医の診断に小さくうなずく。
ありがたい。
吸入薬も全然効かない。
あたしは母親なのに……苦しんでいる息子にしてやれることが何もない。
喘息発作を起こした優也は紫色の唇を薄く開き、朦朧としている。
病室に入ると、夜中にも関わらず複数の看護師さんたちがてきぱきと動き回り優也を着替えさせ、鼻に酸素チューブを取り付け、点滴を繋いでいった。
(帰れって言われないってことは……優也の状態、よくないのかな……)
完全看護の病院だと付き添いは断られることが多い。しかし今回、狭い病室には付き添い用の簡易ベッドが置かれていた。
ムクムクと沸き起こる悪い妄想を、あたしは頭を降って追い払う。
「弱気になっちゃダメだ!優也はあたしが護るんだから!」
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