101人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
タクシー到着のお知らせをフロントから連絡をすると、先程のヤンキーがフラフラな友達を連れてやって来た
あ、だけど階段が……危ないな
俺は直ぐに彼等に近付いた
『手伝います』
「お?悪りぃな」
『いえ』
反対側を支えゆっくりと階段を下りた
「おら!あとは自分で何とかしやがれ!!」
『ええっ!?』
なんとヤンキーはタクシーの後部座席へ酔った友達を無理矢理押し込んだ
「これで良し」
『え、大丈夫ですかね?』
「自分の住所ぐれぇ言えるだろ!後は運ちゃん任せだ!」
『そうですか……』
走り去るタクシーを見送り店の中へ戻ろうとした時ふと彼と目が合った
「お前……」
『な、何ですか?』
気分はまるで蛇に睨まれた蛙
「すげぇチビだな」
は?
俺の頭に手を置き自分の身長と比べるヤンキー
な、なんて失礼な奴なんだ!!!
タクシーに無理矢理押し込んだ事は置いといて……
あれだけいる人の中でこの人だけが酔っ払った友達を気にしてここまで運んであげてたもんだから実は超いい人だと思ったのにッ
いかんいかん、営業スマイルを忘れるな
『あはは、良く言われます』
「だろーな。こんな時間まで働いてて大丈夫なのか?未成年じゃねーのか?」
むむむっ!
『これでもちゃんと成人してるんですよ。なので全然問題ないです』
「ふーん、まぁそのナリじゃ年齢誤魔化すっつーのは不可能だからそうなんだろうな」
むむむむむッ!!
『あ、あはは……では俺は仕事がありますので』
ぎこちない営業スマイルを彼に向け俺は直ぐに階段を駆け上がった
ち、ちくしょーーーーッッ!!
何で俺が初対面の奴にあんなボロクソに言われなくちゃいけねーんだ!!
バイト終わったらヤケ酒してやる!!
.
最初のコメントを投稿しよう!