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『…………』
みっ君さんの車の助手席に乗せられぼやけた視界で窓の外を見ると、さっきまで自分が乗せられていた車にみっ君さんがまた近付いて行ってて車の中から俺の上に乗っていた男を引きずり降ろしていた
……っ
音は何も聞こえない
だけど、むごい光景に俺は思わず顔を伏せた
そして暫くしてからみっ君さんが運転席に乗り込んで来て、誰かに電話していた
話をしているみっ君さんの手を見てみると、所々肌の色が違っていて……
暗いからよく見えないけど、あれは間違い無く血だ
電話を終えたみっ君さんは無言で車を走らせ、俺達は人気の無いその場から離れたんだ
「大丈夫……じゃねーよな」
『……』
「あいつ、最近店に入って来たばっかの後輩で……や、そんな事どうでもいいよな」
『…………』
俯いたまま彼が掛けてくれた服をぎゅっと握った
『みっ君さんも……あんな事した事あるんですか?』
「……昔一回だけ。先輩に言われて強制的に」
『その先輩とは今も繋がってるんですか?』
「いいや。ヤクザの金に手ぇつけてそっからその人消息不明」
『…………』
「あいつら、それだけは絶対にやるなって俺すげぇ言ってたんだけどな……俺あれ以来無理矢理だけはマジ勘弁なんだよ」
『……どうしてあの車だと分かったんですか?』
「車の側に立ってた奴も後輩だから」
『…………』
信号待ちで車が止まり再び沈黙になった
「取り敢えず憂君ちの前着いたけど……」
車はアパートの前で停まった
『はい、有難う御座いました』
「大丈夫か?一緒に居てやろうか?」
『いえ……えっ』
アパートの自分の部屋の方を見てみると、何故か部屋の前に勝哉さんが座り込んでいたんだ
「は?あいつ何やってんの?」
俺の反応を見てみっ君さんも勝哉さんに気付いた
そして勝哉さんも、この車に気付いてしまったんだ
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