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俺は直ぐにそれを拒絶した
『やめて下さい……』
「本当に傷付けてごめん。憂君にフラれてから色々考えて……俺マジでクズだったよな。セフレとはあれから会ってない、連絡も拒否ったし消したし……もう二度とあんな事しねーよ」
『……っ』
その瞬間勝哉さんの顔が頭の中を過った
『みっ君さんが俺に興味を持つ訳は俺が未経験だからですよね』
「え?」
『俺、もう……』
「は?」
俺がそう言うとみっ君さんと目が合った
「え?何?」
『だからっ……俺……もう未経験じゃないんです』
「勝哉?」
そして直ぐにそう聞かれた
本当は俺自身まだはっきりとは分かってない
だけど勝哉さんの言う通り俺は勝哉さんとしたのかも知れない
けどあの人がそんな下らない嘘をついているようにも見えないんだ
『……はい』
「やっぱ付き合ってんの?」
『いえ……』
俺の返事を聞き深く溜息を吐いたみっ君さん
「あの野郎……」
『勝哉さんは悪くないです!俺が……』
「俺に散々色々言って来やがったクセに自分はちゃっかり手ぇ出してるとかマジ有り得ねーわ……」
『…………』
俺と勝哉さんは付き合ってなんかいない
それなのに体の関係を持っただなんて……
「憂君が誰と何をしてよーが俺には何も言う権利ねーよ。けど……相手が勝哉なら話は別だ。何でそーなったの?俺と別れてからだよな?」
『あの時は俺凄く酔ってて……あんまり覚えてなくて……』
「は?じゃあ何?まさかあいつ無理矢理……」
『や!無理矢理では……ないと思います』
「…………」
俺から手を離し、ハンドルに頭をコツンと当ててみっ君さんは言った
「俺は別に未経験だからとかそんな事はどーでもいいんだよ」
『……』
「え?何?憂君が未経験だから俺が興味持ってるとか思ってたの?」
『違うんですか?』
するとまた深く溜息を吐いた
「や、確かにその顔と年齢で真っ新ってマジで珍しかったし最初はそうだったかも知れねーけどさ……実際憂君といて楽しかったしいいなって思ってたし……セフレと会ってたのはマジで反省してるけどさ……俺マジで馬鹿過ぎんだろ。クソッ」
『…………』
「なぁ、俺があんな馬鹿な事してなかったら俺と正式に付き合ってくれてた?」
『…………そうですね。付き合ってたと思います。俺、みっ君さんの事好きになってたから……もう過去形ですけど』
「……そっか」
過去は何をしたってもう変えられない
失ってしまった信用もそう簡単に取り戻す事は出来ないんだ
「憂君は勝哉の事どう思ってんの?」
みっ君さんにそう聞かれ……
『好きですよ』
と、俺はそう答えた
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