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手を握りぐっと堪えた
体の関係を持ってしまったとは言え俺は勝哉さんの何にでもない
友達でもない
恋人でもない……
言ってしまえばただの知り合い
『ごめんなさい。俺、帰ります』
そう言って立ち上がろうとした時、勝哉さんの部屋のインターフォンが鳴った
ち、ちょっと待って……
まさかもう忘れ物を取りに来たのか……?
マズい!鉢合わせになる!
何より勝哉さんの彼女なんか見たくなかった
『あの!俺ベランダに……っ』
その瞬間玄関のドアが勢い良く開いた
「てめぇ居るんだったら出迎えぐれぇーしれよボケッッ!!!」
…………え?
そう言ってズカズカと部屋の中に入って来たのはガタイの良い男の人で……
「おーあったあった!これがなきゃ仕事が出来ないんだよ!……ん?おお悪りぃ悪りぃ!ツレが来てたのか、邪魔したな」
「いーからさっさとそれ持って出て行けよオカマ野郎」
「はー!?っていけねっ!遅刻しちゃう!んじゃまたキャティー達と一緒にここに突撃するからな!覚悟してなさいよ!」
「分かったからさっさと行けよ!うっせー奴だな!!」
「言われなくても行くわよ!」
そう言って女物のポーチをガシッと掴み部屋を出て行った男の人……
『あの……さっきの人は……?』
「オカマバーで働いてるツレ」
『キャティー達って……突撃?』
「昨日オカマ共が俺んちでどんちゃん騒ぎしやがったんだよ」
『でも部屋の中全然汚くない……』
「あいつらあんなナリだけど掃除だけはいっつもちゃんとして帰んだよ。ったく、パーティーだか何だか知んねーが人んちを何だと思ってやがんだっての」
『…………』
俺はガクッと膝を床に落とし両手をついた
お、オカマ友達…………
「何やってんだお前」
『や、何か全身の力が抜けちゃって……』
早とちりした自分が物凄く恥ずかしかった
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