紅の鎖

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 「あの雨音を止めてよ。兄さん」 俺の首に全体重をかけた和月の指がのめり込む。だめだ!振り解けない。 「......く、苦しい」 「一つになればもう他の魂に惹かれる事が無いんだ。俺だけのものだ」  更に空気を求めパクパク足掻く俺の唇に和月は湿った唇を重ねた。  『兄さんの魂を身体から剥がす』  肌に触れる前髪の間から覗く和月の黒い瞳が語った気がした。  恐ろしい力で締め付けられる俺の首はメリメリと音をたて、執念を込めた吸引は肺を潰していく。和月の身体の下で苦痛に顔を歪めながら呻き声を繋がる唇から漏らす。 意識が遠のいていく。 嫌だ。 死にたく無い。俺にはまだやり残した事が沢山ある。 和月、俺はそんなに悪い事をしてしまったのか。 ただの兄弟にはもう戻れないのか。
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