淡く光る赤い闇に

刻んだ記憶は心のメモ帳の中に

僕はいつか聞いたことがある。

この暗闇を抜けた先には、光溢れる輝かしい世界が待っていることを。

ただ一つ覚えていることがある。

そこに広がるのは、仏様のような優しく穏やかな人たちのいる、明るい場所だということを。

誰もが持っている、心のメモ帳。

これを辿ればきっとわかる。進むべき道へと刻んでゆく、僕の歩んだ先の世界が。

「もう少し、もうすぐだよ。がんばって！ あと少し！」

「もうすぐ会えるね。がんばれ！」

誰かの声が聞こえた。強くて優しいささやき。

きっと僕がこの闇を抜け出せる時は、すぐそこまできているのかもしれない。

力を振り絞った。力の限り前に進んだ。

「あ、今、ここに……」