淡く光る赤い闇に

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いつの頃からだっただろうか。 気が付くと、この暗い闇の中をひたすらまっすぐ歩いていた。何処をどのように来たのか、何処へ向かっているのか、何もわからないまま呆然(ぼうぜん)と歩き続けた。 長い長いトンネルのような、光も電気もない、ただ暗闇だけが僕を包み込んでいた。だけど、不思議と怖くはなかった。 まるで、宇宙空間を漂っているような、夜の海に浮かんでいるような、身体はいつも軽い状態でいた。 それは、いつまでも続いていき、この闇を通らなければならないことを知っていたかのように、僕は必死で歩き続けた。
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