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僕には何も記憶がない。名前も顔も何も知らない。僕に関する全てのことがわからない。
だけど、今此処にいて、光を目指し、いつか何処かへ辿り着かなければならないことだけは知っていた。
それがいつなのか、どのタイミングでなのかはちっともわからない。
それでも、暗闇の中でひたすら僕は歩いてゆく。何処をどのように進めばいいのか。それを知るためにも、いつまでも何処までも歩き続けた。
ただ、うっすらと遥か彼方から聞こえる声が、僕の道筋を示すもののような気がしていた。
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