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あれからどのくらい寝たか分からないけど、あいつが動く気配を感じて目を覚ました。
「起きたのか?…体調はどうだ?」
「…どうって……お前は何でここにいるんだよ?」
自分の気持ちを認めてしまったら、恥ずかしくてあいつの顔がまともに見れない。俺はどこまで女々しいんだ…。
「昨日、海外出張から帰ってきたばかりだったんだ。何回も電話したのに繋がらなかったから心配して来てみれば、鍵は開けっぱなしだし、グッタリしてるし…」
「…海外?」
「シンガポール行ってた。お土産買ってきてやったぞ!」
「教えとけよっ!!心配すんだろーが!!」
海外出張もあるって最初の頃言ってたけど、行く前に一言くれたって良いだろ…どんだけ悩んだと思ってんだよっ!!
大きな声を出したら一瞬目眩がした。
「大丈夫か?熱測れ…」
「ゲホゲホッ…お前のせいだぁ…」
「悪かった…てっきりお前は、全く俺に興味ないんだと思ってたから。この1ヶ月1度も着信無かったし」
「………興味ないけど…今まであった連絡がパタッと無くなったら俺だけじゃなくて誰でも心配すんだろ…」
「全く、素直じゃねーなぁ」
うるさいと言い返そうとしたら体温計が鳴った。
38.6度あった為、昨日買っておいたレトルトのお粥をあいつが温めてくれて、薬を飲ませてくれて、強制的に寝かされた。
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