『熱のせいだ』

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薬が効いてきた頃、俺は夢を見た。 何も見えない暗い景色の中、あいつの後ろ姿だけが見えて、俺はそこに向かおうと走っている。 『おい、待てよっ!』 あいつは、歩く足を止めようとも振り向こうともしない… 『シカトすんなっ!!おいっ!!』 『…………………』 距離は縮まらないどころか、段々ひらいていく。 何でシカトすんだよっ!! 何で俺から離れていくんだよっ!! お前は、何がしたいんだよ……っ!! 言葉に出来ない想いが頭の中でグルグルとまわる。その時、あいつがやっと、こっちに振り向いた。 『何?瑞樹…お前、俺の事が好きなの?』 『……はっ!?』 あいつの姿が消えて、一瞬で俺の背後に移動する。 『俺から連絡がなくて寂しかったんだろ?俺が離れていくのが嫌なんだろ?』 『ち、違うっ!そんな事ない…っ!!』 『じゃぁ何で、さっき「俺が居てくれたら…」って思ったんだよ?』 『……それは……………』 『いい加減認めろよ…俺が好きだって』 『み、認めるもなにも…俺はお前の事、好きじゃないっ!!』 『……なら、俺なんて居なくても良いだろ…』 そう言ってあいつは、俺から離れて歩いていく。 『まっ、待てよっ!!違うっ、行くなよっ!!』
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