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呼び止めても反応はない。さっきよりも速いスピードで距離がひらいていく…。
『頼むから、止まってくれよっ!!行かないで…』
こんなのズルイだろ…お前の事なんか好きになりたくなかった。あんな酷い奴、関わりたくなかった。
認めたくないのに、こうやってお前は無理やり認めさせようとする。
『そうだよっ!お前の事、好きだよ…だから、戻ってこいよっ!!』
頼むから…
「み……き……ずき……瑞樹……大丈夫か?」
「………………ん…」
俺を呼ぶ声が聞こえて目を覚ますと、全身汗でびっしょり濡れていた。呼吸は乱れ、ぼぉ~とする意識の中、あいつの顔が見えた気がした。
「…………ぁ、つし……」
「ぇ……お前…今、俺の名前………」
お
「……………喉…渇いた…」
「……え?あ、あぁ…ほら、ゆっくり飲めよ…」
あいつが優しく俺を抱きかかえて、口移しでスポーツドリンクを飲ませてくれた。もっと…もっと欲しい…
「お、おい……そんな、舌絡めんな…」
久しぶりのあいつの匂い…落ち着く…
でも、あいつが俺の家に居るなんてありえない…
夢か現実か分からないまま、俺はまた眠りについた。
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