『熱のせいだ』

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「お前、帰らなくて良いのか?」 「良いんだよ、その代わりここで作業させて」 「ここで?自分の家の方が楽だろ?」 「作業出来れば家じゃなくても平気」 「…なら、好きにしろよ。でも、風邪が移っても知らないからな!」 「俺はそんなにヤワじゃないし」 「俺が弱いみたいに言うなよ!」 「いいから黙って寝てろって!もっと熱上がるぞ?」 言われた通り口を紡いだ。身体はダルいけど、あいつの香水の匂いがして、キーボードを押す音がとても心地よくて、安心する。 あいつ、俺の事が心配だから家に帰らないのかな…?もしそうだったら、それは… 「ぅ…ん……んーっ…!」 「おい、大丈夫か?……ほら、腰浮かせろ」 いつの間にか眠りについていたけど、汗をビッショリかいて目を覚ます。その度にあいつは着替えさせてくれたり、飲み物を飲ませてくれた。 熱で弱っている時にこの優しさは…さすがにズルイ…都合の良いように勘違いしそうになる。お前が『俺の事が好き』なんじゃないかって… 「もう少し寝てろよ」 そして作業に戻る為にまた離れた場所に座ろうとするから、咄嗟にあいつの手を握った。 「み、瑞樹…?!」 「……………………」 「……ったく…お前さ……いい加減………」 あいつが何か言っていたようなきがしたけど、俺はその言葉を聞く前にまた眠りについた。
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