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ハンカチを取り出して濡れた場所を念入りに拭く。
高そうなスーツだ…俺の安いスーツとは比べ物にならないのは見ただけで分かる。
クリーニング代だけで済めば良いけど…
「あんたさ、わざとやってる?」
「え…何が、ですか…?!」
「さっきから念入りに拭いてるのは良いんだけど、さりげなく俺のモノ刺激してるの気付いてる?」
「えっ!!あっ、いや、すみませんっ!!」
焦ってて気付かなかった…男性のソレは刺激されてズボンを履いていても分かる程勃ってしまっている…。
ヤバイ…無意識に刺激していたらしい……。
いや、刺激されたからって見ず知らずの男にされて興奮するなよっ!…と、心の中でツッコミをいれながらも
度重なる無礼に獲物を睨み付ける虎のような表情を向けられ、俺は今にも食い殺されそうな小動物のように恐怖で身動きがとれない状況になっていた。
「次の駅で一緒に降りてもらおうか」
「ぁ………はい…」
考えてみれば、俺に拒否権なんてこの時から無かった。
電車を降りると、無言で男性は歩きだした。どこに向かうのかも聞けない雰囲気のまま、俺は無言であとを追った。
だけど、向かう先に公衆トイレのマークを見つけて一気に血の気が引く。
これって、AVだと『公衆トイレに連れ込まれて無理矢理犯される』王道のパターンでは!?
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