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「おーい、来たぞ!」
合鍵を使って中に入ると、中は電気が消えたまま真っ暗だった。勝手にリビングまで行くけど、いない…
「おい、どこにいんの?」
辺りを探していると、洗面所の明かりだけが付いていた。あいつ、風呂にでも入ってて気付いてないのか?
洗面所のドアをゆっくりと開けて中の様子を伺うと、上半身裸のあいつが床に倒れている。
「おっ、おいっ!!どうしたっ!!?大丈夫かっ!!?」
身体を揺らしてみても起きる気配がない。それどころか、倒れた時に額をぶつけたみたいで少し血が出ている。
「お、おいっ!敦っ!しっかりしろよっ!」
とにかく、きゅ、救急車…っ!
震える手で救急車を呼んで、来るまでの間ずっと敦の名前を呼び続けた。
すると、眉間にシワを寄せて目がゆっくり開く。
「あっ、敦っ!!だ、大丈夫か!?ど、どこか…」
「…ん………っと、…頭が、ぼぉ…とする…」
「お前、倒れて…頭……、お、俺…どうしたら…」
あいつが目を覚まして安心したのに、声も手も震えて上手く言葉が出ない。
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