『不安と嫉妬…』

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そうこうしている内に救急車が来て、隊員がテキパキと処置をしてくれる。俺はそれをただただ、邪魔にならない場所で見ているしかなかった。 担架に乗って移動するあいつを見て、いつもより小さく感じた。熱を出した時も思ったけど、あいつ…あの時よりもさらに痩せてた…。 何で気付いてやれなかったんだろう…俺は、自分の事ばかりで、あいつの事まで気がまわらなかった。 「針が刺さったままなんて耐えられない…抜いてくれ…っ!」 「アホかっ!点滴が終わるまで我慢しろ!」 「枕が低すぎる…」 「うるさい、黙って寝てろ!」 意識がハッキリしてきたこいつの口からは文句しか出てこない。まだ全然平気ではなさそうだけど、こうやって会話が出来るだけで安心する。 「瑞樹、悪いんだけど俺のスマホから時田に電話してくれないか?」 「…あ、あぁ…何て?」 「入院する病院と明日で良いんだけど、着替えを何着か持ってきて欲しい。後PC…」 「お前なぁ…無理かもしれないけど、こういう時くらいは仕事から離れろよ」 「まぁ、持ってくるかどうかは時田に任せる。とりあえず伝えるだけ伝えて」 「…分かった。電話してくるから、お前は休んでろよ」 通話が出来るスペースまで移動して、緊張しながら時田さんの連絡先を探す。…許可を貰っているとはいえ、人のスマホを弄るのは気が引けるな…。 連絡先を見ると、数人の名前しかないから時田さんを探すのは簡単だった。きっと、仕事の携帯は他にあって、こっちは…俺の名前もあるからプライベート用か?…それなら秘書の連絡先があるのはおかしいよな? いろんな事が頭に浮かびながら時田さんに連絡をすると、2時近いと言うのにすぐに出てくれた。
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