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「あ、あの…」
『もしもし、あっくん?こんな時間に何かあったの?』
…あっくん?
一瞬、電話越しの相手が『秘書の時田さん』か疑問に思ったけど、連絡先に時田さんはこの番号しかなかった。
「あの俺…、渡部ですけど…」
『…………………渡部さん?何であなたが社長の番号から連絡してるんですか?』
さっきまでの明るい声が急に低くなる。そして、社長と呼び直しているって事は、やっぱり電話の相手は秘書の時田さん…。
俺は、あいつが倒れたこと、あいつからの伝言も伝えた。すると、もっと低い声で今から向かうと言い、電話が切れた。
やっぱり時田さんは、ただの秘書ではないんだ…。そういえば、あいつの家の合鍵も持っていたし…あっくんなんて呼び方も、親しい奴じゃなきゃ出来ない。
2人は、どういう関係なんだろう…
あいつがいる個室に戻ると、あいつは眠っていた。もし今、このスマホの中身を見たら…全部分かってスッキリするのかな?
そんな最低な事、出来るはずないのに嫌な想像ばかりしてしまう。これが、嫉妬というやつか…
「まだ…点滴終わってないのか…」
「残念だったな」
しばらくして、あいつが目を覚ました。
「時田さんに連絡した…今から来てくれるって」
「そうか…あいつにも迷惑かけてしまったな…」
「……………」
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