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『チハル、帰ってきてる?』
音の大きさに心臓が激しく鼓動をたてて、手にしていたものをポケットにねじ込んだ。
メッセージの相手はもう一人の幼馴染であるアキラだ。
アキラもまた東北の大きな市の大学に通うため、ここを離れていたのだが。
『アキラも帰ってきてるの?』
既読になって数秒後。
『今夜暇? ナツミと三人で会わない?』
『明日会えるじゃん? 同窓会で』
『そうだけど、懐かしくて。ナツミともチハルとも高校卒業以来だし』
アキラの懐かしいに違和感を感じていた。
アキラも同じことを思っている、きっとナツミも。
同志を求めている。
確かめたいんだ、違うよねって。
私たちのせいじゃないよねって。
今夜21時頃、ナツミの家の側にある居酒屋で。
約束を交わした頃、ようやく母さんが帰ってきた気配を感じた。
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