12人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
「ちょっと着替えるだけってお話だったのに結構時間が掛かってしまいましたわね・・・?」
そんな事を言いながら後ろを振り返るマリアに侍女のリーエはそうですね・・・と答えると、つい先程まで行っていたディスキンスとの交渉にハァ・・・と溜息をつきだす。
「しかし・・・本家のご承諾も無くこんな事を決めてしまって本当に良かったのでしょうか?」
「リーエがそんなに心配しなくても大丈夫ですわよ。一応暫くは私のポケットマネーでやり繰り致しますし・・、最悪バレても何らかの結果さえ残せばお父様や弟のキースは許してくれる筈ですわ・・・よね多分?」
最後に不安気な言葉を残しながらマリアが首を傾げると、娘に激アマなドーソン様はともかく弟のキース様は怒るだろうな・・・と思ったリーエはそうだと良いんですが・・・?苦笑いを浮かべる。
「あのさっきから聞いていると・・・マリア様には弟さんがいらっしゃいますの?」
そう首を傾げながら尋ねて来るアンナに対しリーエは、はいアンナ様。と答えるとニコっと微笑む。
「マリア様には6個上の兄でタウト様と弟で二つ下のキース様と言うお二人のご兄弟がいらっしゃいますよアンナ様?」
「あら、マリア様にはそんなに年上のお兄様までいらっしゃいますのね・・・私には兄弟が居ませんから何だか羨ましいですわ♪」
そう言いながらニコっと微笑んで来るアンナにそんなに良いものでは有りませんわよ・・・?と答えたマリアが苦笑いを浮かべるので、何か有りましたのマリア様は・・・?とアンナから不思議そうに尋ねられたリーエは困った顔をしながらハァ・・・と溜息をつきだす。
「マリア様は弟君でいらっしゃるキース様とは非常に仲が良いのですが兄のタウト様とその何と言うかウマが合わない・・・いや同族嫌悪と言った方が良いのか・・・」
「何だか良く分かりませんが・・・取り合えず兄妹仲が悪いって言う事は伝わりましたわリーエ?」
う~んと腕を組みながら必死に説明しようとするリーエに対しアンナもその雰囲気から何となく察して頷いていると、悪いんじゃ無くて嫌いですわあのバカ兄は!とマリアが珍しく怒声を上げるのでアンナからえっマリア様!?と驚いた顔でリーエの方を見て来る・・・
「マリアお嬢様?アンナ様も驚いてますし・・・ここは人の往来も有りますので急に大声を上げるのはどうかと思いますが?」
「あっ、申し訳有りませんわねアンナ・・・久しぶりに家出したバカ兄の事を思い出してのでついつい大きな声を上げてしまいたわ。」
そう言いながら申し訳無い顔を見せるマリアにいえいえ!?とアンナが慌てて両手を振りながらも、えっ家出って・・・どうなってるの?とブルーノ家の複雑な事情に内心驚いていると、あっここですよ?とタイミング良く声を上げたリーエが話しを切り替える様に先程も来たギルドの看板を指差すのであった。
最初のコメントを投稿しよう!