お母さんは鬼に進化した

1/1
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ

お母さんは鬼に進化した

 そしてその日はやってきた。  お父さんが、物置の(かめ)を使うと言い出して、ぼくは止めたんだが、フタは開けられてしまった。  すると、(かめ)の口から「お母さんの耳はロバの耳〜」「お母さんの耳はロバの耳〜」とよく(ひび)く声がして、村中に届いてしまった。  すると、村中のお母さんたちの耳はロバの耳になった。そしてぼくのお母さんは、頭に鬼のようなツノが生えたのだ。  村中のお母さんたちが、ぼくのお母さんのもとに集まってきた。そのお母さんたちも頭にツノが生えた。  ぼくのお母さんは「今こそ戦いの時が来た!お母さんよ立ち上がるのだ!」と叫ぶと他のお母さんたちは「ウォーッ!!」と勝鬨(かちどき)の声を上げ、村中に(とどろ)いた。  それは後にウォー・クライとして知られるようになったものだ。  それから、ぼくのお母さんは、どこかに向かって叫びながら一直線に走り出した。すると、他のお母さんたちも、一斉に叫びながら走り出した。  村にはお母さんが一人もいなくなった。  そしてぼくのお母さんは、ウォー・クイーンと呼ばれるようになったのだ。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!