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「そう……あ、隣座っていい?」
「あっ、どうぞ」
立ち上がって少しずれ、もう一度座る。
「千堂さん、何か飲みませんか? コーヒーでいいです?」
「あ、うん。あ、俺が」
「いえ、ちょっと待ってて下さい」
立ち上がって、公園の入り口にある自動販売機で缶コーヒーを2本買い戻る。
1本を千堂さんに差し出す。
「ありがとう。いただきます」
微笑んで隣に座り、自分のコーヒーのフタを開け飲んだ。
「どう? 子育て。仕事は復帰したんだよね」
「はい。今は家のパソコンにデータが送られて来て、家でコーディネーターの仕事をしてます。子育ては大変ですけど、楽しいです」
「そう……蘭ちゃん、幸せ…?」
千堂さんが真っ直ぐ私の顔を見て、訊いた。
「はい、もちろん!」
そう笑顔で答える。
「ふっ、そっかっ! ならばよしっ!」
彼が一瞬、寂しさ? 諦め? に似た複雑な表情を見せた。
「ん? 千堂さん…?」
「あぁぁー! あきらくーん!」
砂場で遊んでいた百合がこちらに気づき、千堂さんの元に駆け寄って来る。
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