記憶の中の香り&最後の恋~未来へ~

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「あのっ、皆は?」 「あぁ、心達なら、ログハウスの中だよ」 翔が答え、ログハウスを指さした。 「瑠璃、俺達も中に入っていよう。皆いると思うし」 「うん…」 そう言って2人はログハウスに向かう。優輝が雷斗のそばで立ち止まり、微笑んで顔を覗き込むと、いつの間にか賢斗の腕の中で眠っていた。 「ふふっ、可愛いなぁ……後で遊ぼうね…」 「ふふっ、疲れちゃったかな?」 優輝が雷斗の頬を人差し指でそっと撫で、瑠璃は笑顔で雷斗の寝顔を見つめていた。そっと雷斗を寝かせたまま、優輝と瑠璃はログハウスに入って行く。 真琴、拓磨、幸二が、翔や賢斗、恭平、楓の元に合流し挨拶を交わしていると、凛と早苗が「ログハウスの中に入っている」と言い、足早に向かう。 また2台の車がこちらに向かって来る。駐車場に入って来て降りて来たのは堂島家、竹内家だ。 『堂島家』 堂島 仁54歳、絢52歳、隼人17歳。 仁は『ウッド・コーポレーション』代表取締役 社長。絢は秘書と主婦の両立。隼人は心や香、優輝と同じ中高一貫校『立命学園中学高等学校』に入学し、現在高校3年生。心と同じバスケットボール部に所属し、心が成しえなかったインターハイ優勝に導き注目選手となった。進学は父の母校でもあり、尋や心が通った大学へ行く予定。スポーツ推薦で受験が決まっている。中高と本人は知らない隼人のファンクラブが存在する。 『竹内家』 竹内 涼太50歳、ルカ42歳、春馬(はるま)4歳。 涼太は幸二と同じ課長に就任。5年前、営業先で知り合ったアメリカ人のルカと恋に落ち結婚。ルカは就職していた建材メーカーを退職し専業主婦。春馬は幸二の玩具(おもちゃ)と化している。 涼太が春馬を抱きルカと一緒に皆の元に向かって来る。すると幸二が涼太へ走って行き、両手を広げて叫ぶ。 「春馬ぁ!」 「こうじぃ!」 「ったく! いつもこうだ…」 「いいじゃない。春馬を可愛がってくれてるんだから」 真っ先に幸二が涼太の手から春馬を奪い去り、涼太はため息をつき、ルカは流暢(りゅうちょう)な日本語でそう言って笑う。 「そんなに子供好きだったら、結婚すればいいのに…」 「俺はいいんだよ。結婚するつもりはない。自分の子じゃなくても、子供は皆、可愛いよ」 「まぁな…」 「幸二、那奈さん達は?」 「あぁ、那奈さんなら、ログハウスの中だよ。奥さん達が集まってる」 「じゃ、私も行ってくるわ」 ルカがそう言って、皆に挨拶をしてログハウスに入って行く。 「あれ? 女性は皆、中にいるの?」 車から仁が降りて来て、尋ねると皆で一斉に「そう」と答えた。 「じゃ、絢も中に行かせる。子供達は?」
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