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リゴーン…
街の中心にある時計台の鐘が19時を知らせる。
夕日が沈む一瞬、街が紫色に染まった。
「紫色に染まる街が全体に見渡せる。ここからの眺めは最高ですね…。まさにバイオレットガーデン」
王子と二人でこの景色を見れるなんて、まるでゲームのエンディングみたい。
あいにく悪役令嬢だけどね。
アスタリアは驚いて聞き返した。
「バイオレットガーデン?それは私が密かにこの丘をそう呼んでいたのだが」
しまった。つい…
バイオレットガーデンとは攻略者が名付け、エンディングで主人公にだけ教えるんだった。
「ぐ、偶然ですね~私もそう呼んでいたんです」
なんて誤魔化していると、突然突風が吹いた。
くしゅん
「リーリエ、お供も付けずに一人でここまで来たのか?」
アスタリアは不振な顔をした。
そうだった…令嬢が一人で出歩くなんて普通ないよね。
「すぐそこに馬車を停めてある。屋敷まで送ろう」
アスタリアはリーリエを馬車まで案内した。
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