運命は動き出す

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馬車なんて初めて。 車よりガタガタと結構揺れている。 窓から見る風景は見知らぬ街並み。 そして綺麗な月。 ハァ~ 大きなため息をついた。 だってせっかくロマンチックで、アスタリア様と二人きりだっていうのに、まともに見ることも出来ないし、会話も全然弾まない…。 あ~もったいないわ〜。 でもリーリエはアスタリア様の婚約者なんだし、今からでも好きになってもらえるように頑張ればハッピーエンドになれるかな? 何か話かけようとアスタリア様の方へ向くと、アスタリア様はこちらをじっと見つめていた。 な、何か怪しまれてるような…。 「来週、城で行われる、私の18歳のバースデーパーティーには出席出来そうか?」 突然アスタリアの方から声をかけた。 アスタリア様のバースデーパーティー!? 「もちろん、喜んで」 今度はあの憧れのダンスシーンが生で観られる!と浮かれながら、元気よく返事をした。 しかしその後もアスタリアとリーリエの会話は弾むことなく屋敷に着いた。 その夜、リーリエは重大な事実に気がつく。 アスタリア18歳の誕生パーティーはゲームがスタートしてもう中盤。 攻略対象者が決まるイベントじゃない?! つまり王子はすでに主人公に惹かれていて、リーリエはすでに嫌われている可能性が高いってこと。 もう手遅れだったらどうしよう~。
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