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月夜のダンス
トントン
朝、部屋のドアのノックで目が覚めた。
そこはまだ見慣れないリーリエの部屋。
「おはようございます。リーリエお嬢様」
私の返事を待たずに婆やが部屋に入って来た。
「んーおはよう。こんな朝から何の用?」
ベットの上でまだ寝ぼけながら答えた。
「恐れながらお嬢様、もう朝ではありません」
ホントだ。昨夜なかなか寝付けなかったせいか、もうお昼に近い時間だった。
「今日はお嬢様の記憶が戻るまで、定期的に診察とカウンセリングをしてくださる先生をお呼び致しました」
そう説明した後、同い年ぐらいの女性が部屋に入って来た。
「ジニ・ルベラートと申します。リーリエお嬢様の担当医師をさせていただきます。よろしくお願い致します」
深々と頭を下げた女性を見て私は驚いた。
メガネをかけて、この世界では珍しい短髪のかっこ良い女性。
「千鶴…」
そう、彼女の見た目が親友の千鶴にそっくりだったのだ。
「チズ…?」
あたしの呟きに戸惑うジニさん。
嬉しさのあまり、あやうくジニさんに抱きつきそうになってしまった。
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