運命は動き出す

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沙羅は頭脳明晰、運動神経抜群。誰もが羨む美少女なのに、重度のヲタクっぷり。それに少し世間とずれている。 真凜と千鶴はそんな沙羅が少し心配だった。 二人は顔を見合わせてため息をついた。 「でもさぁ…誰もオタクをやめろとは言わないけど、もう高2なんだし、そろそろ現実の恋をしてみていいんじゃない?」 千鶴はそうアドバイスした。 「そうだよ~。せっかく沙羅モテるのに、いつまでも王子様を思ってるワケにはいかないよ~。そうだ、明日沙羅と千鶴も一緒に合コンに参加しようよ!人が足りないって誘われたんだよ!」 「いいね。沙羅もたくさんの男性と出会えば、アスタリアに似た人にも出会えるかもしれないよ」 そう言って千鶴は了承し、私を後押しする様に背中をポンと叩いた。 「まぁ参加するだけなら…」 気が乗らないけど断りきれなかった。 二人とも私の事を心配してくれてるんだし。 分かってるの。この世界のどこにもアスタリア様は存在しない。 だからヲタ活とリア充をちゃんと分ければいい。 授業が始まると私は窓の外をボーッと眺めていた。 今の生活になんの不満もないのに、つまらなくて満たされない毎日。 だからあのゲームに依存した。 色んな事件やハプニングを乗り越え、攻略者と結ばれる。 私にもあんな激しい恋がしたい。 アスタリア王子のいない世界は私には色褪せて見えた。
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