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沙羅は1人で屋敷を飛び出した。
見慣れない景色。
心地よい風が吹く。
夕暮れ時。
屋敷の裏にある丘を駆け上がると、そこからは王都の街並みが見渡せる。
夕日が沈みかけ、街はもうすぐ紫色に染まる。
お城もまるで絵画のように紫色に映えるの。
そう。ここが乙女ゲーム『バイオレット・ガーデン』の由来。
ここは主人公がHAPPY ENDを迎える場所。
「本当にあった…」
そう呟き、ここは本当にゲームの中の世界なんだと確信した。
まだ信じらんない…私はその場でしゃがみ込んだ。
だってもしそうなら、ここにはあの方が実在するんだ。
そう思った矢先。
コツッ
後ろから人の気配を感じた。
ゆっくりと振り向くと、そこには夢にまで見たアスタリア様の姿があった。
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