消えたアイスクリーム

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 自分の部屋に戻ると程なくして弟の碧が部屋に入ってくる。碧は部屋に入ってくるなり、嬉しそうな顔を浮かべていた。 「ありがとう。お兄ちゃん」 「どういたしまして。まぁ、想定外があったけど結果オーライだったし。よかったよかった」  今回、僕は碧から食べたアイスクリームを聞き出して同じ物を買ってきて冷凍庫の下の所に事前に入れておいた。姉の見間違いにして、兄にこの事を教えなければ、話が上手くまとまる目論見があったからだ。  兄の登場によって、僕の目論見は外れたけれど、兄の行動のおかげで自然な感じに事が済んだので本当に良かった。  ただし、僕の心臓には悪い。演技をするのは本当に疲れる。 「今度からは冷蔵庫や冷凍庫にあるものを勝手に食べないようにしなよ」  僕が笑いながら注意を促すと、碧は二回しっかりと頷くと、笑みを溢して僕の部屋から出ていった。  程なくして兄と姉の大声が聞こえてくる。 「え? また喧嘩?」  仲直りしたと思ったらすぐこれだ。僕は思わず独り言を呟く。そして、思わず頬が緩んでしまった。  まぁ、そうじゃないとこの家じゃないしな。  僕はなんだかんだ言って、この二人の喧嘩が結構好きなのかもしれない。
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