苦しみの雨

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              雨が好きな私 わたしは、昔から雨が好きだった 雨が降る日は、読書ができる 体育が外である日は、教室で静かに自習ができる だから、雨が好きだ クラスで騒いでいる声も雨の音でかき消される そして、わたしだけの世界に入り込む 何も聞こえない、何も見えない、わたしだけが見たいものを見て、聞く それがわたしにとっての幸せだ そんな日々がいつもあったら、雨がずっと降っていたら、そんなふうに、思うこともある 友達なんかいなくたって、恋なんてしなくたっていいんだ ただこんなわたしには、「友達」とか「恋」なんて合わないだけ そんな簡単な答えだ 答えじゃない、現実 だから私は現実逃避をしているわけじゃない 現実と向き合う必要がない それだけなんだ 自分だけの世界、自分しか入れない世界が好き 自分だけその空間にいられれば、他に誰も入ってこなくていい そんな空間をくれる雨が好きなんだ
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