元気にしてた?

3/32
388人が本棚に入れています
本棚に追加
/188ページ
「はい、さっき話しました。 あ、その前におはようございますですよね。 すみません、遅くなっちゃって」 健太郎のいつもの笑顔は健在だ。 この笑顔は自分の本心を優しくオブラートで包んでくれる。 その本心がカチカチに凍った氷のようだとしても。 「で、ソフィアは何て? 休暇の件は」 健太郎は肩をすくめた。 「一か月を二週間にしてもらえないかと」 健太郎はトオルの痛い視線を感じながら、自分のデスクへ向かう。 そんな健太郎をトオルは追いかけながら、こう聞いてきた。 「で? 明智君は何て答えたの?」 「いや、もう休みは要らないですって」 健太郎にトオルのよっしゃー!の心の叫びが聞こえてくる。 それまではEOCの鬼軍曹とか呼ばれていたけれど、今はそんな雰囲気はこれぽっちもない。 トオルさんは子供ができてから、何だか性格が優しくなった。 健太郎にとって、すごく興味深い事柄だった。 子供の頃から培ってきた性格が変わる事ってあり得るのかな、と。
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!