神聖ラストラルタ建国前夜

終章

　神聖ラストラルタの初代国王は――その時代に珍しく女性であったことで知られる。
　クレア・ディードリック。
　ラストラルタの国を滅ぼし、新たな国を打ち立てた彼女は終生に渡って優れた政治手腕を示し、民を導き続けた。
　その夫である――真紅の髪の持ち主、ノエル・ディードリックの素性について確かなことは伝わっていない。一説には神の使いだと言われる彼は、女王の統治を手伝い献身的に妻を支え続けたことで知られる。
　ただ一つ初代国王夫妻について、どの歴史書にも共通して語られるのは――まるで比翼の鳥のように仲睦まじい夫婦だったということだけである。

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