第1話 天使が微笑むその先

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 そんなことを話しなが出雲は横を歩く美桜を見つつ、目的地を目指す。  賑わっている道を進みながら周囲を見渡している美桜は、商店街ってここだけなのと話しかけてくる。 「ここ以外にも商店街ってあるの? 結構賑わっているから、ここ以外にあるのかと気になってね」 「そうだね……ここは南側で一番盛り上がっている場所なんだよ。北側はまた違って落ち着いた雰囲気の商店街があって、西と東にはデートや遊びで使える遊園地やおしゃれなお店が多いよ」  自身の国にはなかったであろう施設の名前や商店街の内容を聞き、目を輝かせて行きたいと何度も言っていた。 「そのうちね。とりあえず今は君のことを報告しないといけないからね。それはそのうちに連れて行くよ」 「本当よ!? 絶対だからね!」 「はいはい」  言葉を流して聞いていると、美桜が突然そうだわと声を発する。 「今度はなに? また食べたいものがあったの?」 「違うわよ! さっき、私のこと君って呼んだでしょ?」 「呼んだけど? 何かあった?」  美桜は唇に力を入れて何かを考えているように見える。静かに歩き続けていると、美桜って呼んでと声を上げて言う。 「きゅ、急になに!? 美桜って呼んで?」 「そうよ! 君って言い方って少し他人行儀過ぎない? あんなことがあったんだし、もう赤の他人じゃないでしょう?」 「刺客と戦ったけどさ、それで赤の他人じゃないって言えるものかな?」 「言えるのよ。命を懸けた戦いで戦わなくてもいいのに、私を守るために戦ってくれたんでしょう? それはもう運命よ」  運命。  そう言われた出雲はそうなのかと悩んでいた。たまたま出会ってたまたま刺客が襲ってきたから戦っただけだ。たったそれだけで、それほど早く距離が縮まるのだろうかと悩んでいた。 「まあ、君がそう言うのならそう呼ぶよ」 「また君って言った! み・お! 美桜よ!」 (し、しつこい……! はぁ……逆らったらまた長くなりそうだから、従っておくか……)  諦めた出雲は、美桜の言葉に従うことにした。 「そうするよ。ちゃんと美桜って呼ぶよ」 「それでいいのよ。私も出雲って呼ぶからね」 「おう、なんかくすぐったいな……」  頬を掻きながら照れていると、美桜が背中を叩いてシャキッとしなさいと言っている。  出雲はごめんと言いながら美桜と共に歩いていると、商店街を抜けて静かな会社街に出た。 「急に静かになったわね。キビキビ真顔で歩いている人ばかりだわ」 「ここは会社街だからね。国の重要な施設や、それに連なる会社が多くある場所なんだ」 「国に連なる会社?」  小首を傾げている美桜に対して、ここで暮らせばわかるよと笑顔で2人は話していた。
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