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「そんなことがあったのか!? 今は無事ってことは追い返したってことか?」
仁が出雲の前に歩いてきて、出雲の体を触り始めた。
「どこも怪我をしていないか!? 大丈夫か!?」
「仁さん痛いよ! どこも怪我してないから大丈夫!」
その言葉を聞いた仁は安心したようで、よかったと言葉を発していた。
「親子みたいね。本当の親子じゃないんでしょう?」
「違うよ。俺が10歳の時に引き取ってもらったから、ある意味父親なのか?」
「俺はそう接して来たぞ。仕事に対しては対等に接しているがな」
対等に接すると聞いて、大変だったなと遠い目をし始める。
「ま、そんなことは今はいい。それから刺客はどうなったんだ?」
「美桜が刺客の左腕を吹き飛ばして引きましたが、また来ると言っていました」
「そうか……お前の家はどうなったんだ?」
「そのことでも相談があったんです」
3人が立って話していると、秘書の女性が椅子に座りませんかと話しかけてくる。
「そうだな。中央に椅子があるからそこに座ってくれ」
仁が中央の椅子に2人を座らせると、秘書の女性がコップに入っているお茶を置いて行く。
「ありがとうございます!」
「これはなに?」
「これはお茶だよ。大和国で作っている名産品でもあるんだ」
「そうなのね。なんか良い落ち着く匂いがするわ」
コップを持ってその匂いを楽しんでいる美桜の様子を見て、ほっこりした気持ちになっていた。
「それで、家はどうなったんだ?」
「戦闘の影響でボロボロになって管理人さんに一度退去してくださいって言われました……」
「そうか。家を探さなければダメだな。それに、そっちの女の子の行き場も考えなきゃダメだな」
仁は美桜を見てこれからどうするべきか悩んでいるようである。
出雲自身もどうするべきか考えていなかったので、仁を見て考えておけばよかったと後悔をしていた。
「さて、どうしたものか……職員の寮もあるが、刺客が攻めてきたら大変なことになるしな」
顎に手を置いて仁は考えているようで、秘書の女性と何やら話し始めていた。
「2人で話し始めちゃったね。美桜はこれからどうしたい?」
とりあえずもに聞いてみることにして、時間を稼ごうとしていた。
だが、美桜はすぐに考えていることを言葉にする。
「出雲と一緒に暮らしたいわね。迷惑をかけたお詫びもしたいし、守ってくれると言ってくれたからお互いに支え合いたいわ」
「え、ちょっ!? その言い方じゃ勘違いするよ!」
「え? 思ったことを言っているだけだけど?」
美桜は小首を傾げながら、何を言っているのよと出雲の顔を見て小さく笑っていた。
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