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「チャイム鳴ったよ。席着いて」
二時限目と三時限目の間にはみんな、主に男子が、腹が減って購買へ買い出しに行く。
でも休み時間は昼休み以外は毎回10分しかないもんだから、たいていの奴は遅れるか開き直ってバックレるかで、教師たちはこの休み時間になると目の光らせ方がちょっと違う。
ただしバックレはほとんど一類の奴で、特選クラスともなると、そんなことをする奴はまあいないけど。
「席に着いて」
チャイムが鳴り終わった。その瞬間、パンやらおにぎりやら、唐揚げ弁当やら両手に抱え込んだ遅刻派の男どもが教室に次々と滑り込んでくる。
どたどたと騒々しい。35人中9人という少数派の女子達は無視を決め込んで黒板を向き、静かに授業の穏やかな開始を待っている。
「セイフー」
「森尾くん違うよ発音、safe」
「バッカどうでもいいよ。それよか早弁だ早弁」
「おまえらなァ忘れるなよ、バブルだぞ、bubble。早弁終わったらスマホ開けよ。この前は寝こけやがって。俺一人で対戦したんだぞ」
クラス中、なかなか訪れない静寂。いつも通りだ。けど。
「早く着席しなさい」
「いや今日はbubbleはしない。ジリジリやろう」
「賛成」
「待て待て、ここは多数決でいこう」
「静かにしろよ」
気が付けば声を上げていた。
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