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《一葉のクローバー》突然
高校一年、普通の学校生活を送っていたある日、授業中にメールが入った。
「母さんが倒れた、お前は授業が終わったらすぐ病院に来い!!」
との竜之助(兄)からのメールだった。学校では顔色変えず、いつものように学校生活を過ごし、校舎を出た瞬間、鬼の首を取りに行くかのような形相をして駅へ向かった。いつもは気休めに電車が来るまで聴いていた音楽も、今では雑音にしか聴こえない。一秒一秒が恋しい。
「今どんな状態なのか」
「兄貴からその後の連絡がないが、今はどういう状況なのか?」
「親父から連絡がないということは、心配性で次男坊である俺に気を遣わせてるのかもしれない。それとも説明できないような状況だったりして……あぁ、どうなんだ!!」
イライラは募る。もちろん誰のせいでもない。だからこそ、この想いがいつまで経っても昇華しきれない。電車が来たが、それは各駅停車だった。僕は電車で腕を組んで顔を伏せ、声を押し殺して泣いた。
(何故こういう時に限って快特ではなく普通電車なんだ!)
病院に着いたときは親父と兄貴が既に着いていた。そして奥には優しい母の笑顔を見ることができた。僕は緊張が解れ、軽いジョークも自然と口から出てきた。ただ、僕と母の間には何か……未だに言葉では言い表し難い「間」のようなものがあった。
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