エピローグ

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 この先あなたに会えなくなるくらいなら、私の命はここまででいい。本気でそう思っていた。だけど私は、今もこうして生き続けている。  テレビから、伊原が好きだった曲が聴こえてくる。何も変わらない。あの頃、教室で、イヤホンから微かに聴こえた優しげなピアノの音。  伊原、今どこで何をしてる? 仕事には慣れた? 彼女はできた? 相変わらず髪は長いまま? 今もパンばっか食べてるの?  電車に揺られているとき。音楽を聴きながら、一人夜道を歩いているとき。眠る前。目を瞑ると、私はいつでもあの教室に帰ることができた。  窓際の一番後ろの席。真面目な顔をして授業を聞いている、髪の長い男の子。  私を照らしてくれた、たった一つの儚い光。
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