2. 友達

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「てか蛍くんさぁ、いい加減スマホ買ってよ!」  教室の出口で神堂が振り返り、口を尖らせて言った。 「お金もったいないし……固定電話で十分だろ」  面倒臭そうに答える伊原に、「いつの時代の人?」と神堂が呆れ気味に突っ込む。 「私も伊原とメールとかしたい……」  口をついて出た言葉に、自分でハッとした。 「あ、いや、違くて……」  慌てて訂正しようとしたが、遅かった。顔がみるみる赤くなるのが自分でも分かる。そろそろ多香子たちも戻ってくる頃だろう。早く昼休み終了のチャイムが鳴ってくれと願った。 「へー……なるほどね。分かるよ、蛍くん顔は悪くないもんね」 「そういうのじゃないから!」  神堂がニヤニヤしながら私を見つめる。違う、そういう意味じゃなくて、家にいても暇だから、そんな時に伊原と話せたら楽しいなと思っただけ。それだけなのに、なかなか言葉が出てこなかった。  伊原は一人「固定電話じゃ駄目なのか……?」と言っていて、全く話についてこられなかったようだ。胸を撫で下ろし、自分のクラスへ帰る神堂を見送った。
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