<1月1日>二人だけで一夜を過ごす

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<1月1日>二人だけで一夜を過ごす

 #昨夜は和葉さんと横浜で、年越しライブに行った。そして、朝まで彼女の家で一緒に過ごし、今家に帰って来た。母親には「高校生が深夜に遊び歩いて良いのか」ととがめられ、姉の萌香(もえか)には自分の男遊びを棚に上げて「不良だ」と言われて腹が立った。徹夜だったので反抗するのにも眠く、部屋に入るとそのまま眠っていた。  ライブが終わったのは午前2時で、新年を迎えた駅までの道を二人で歩いた。ライブの興奮も冷めやらず、彼女は俺の腕に胸を押し付けてはしゃいでいたが、俺はドキドキしっぱなしだった。帰りの電車もなくてどうしようかと考えていると、彼女から「家に来る?」と誘われた。渋谷からタクシーに乗り、彼女の家に着くまでの間、緊張のあまりに身体が強張っていた。彼女の家は豪邸で、しかも御両親は留守だと聞き、二人きりで夜を過ごすのかと思ったら、鼻血が出そうだった。  ソファーに座っていても落ち着かず、彼女がすぐ隣に腰掛けて来た時には、思わず腰をずらして距離を取っていた。こうした時、どうすれば良いかという知識を持ち合わせていなかった。それからは恋愛話になり、俺は七海との淡い恋の話を長々と語った。手をつないでうれしかった事、今でも好きでいる事を話すと、彼女は「プラトニックラブか。汚れがないわね!」と言って納得していた。そして、次は私の番とばかりに、彼女は自分の男性経験を話し始めた。中学の時の初恋から、大学に入ってからの男関係を具体的に話してくれたが、俺は何とも微妙な気分で聞いていた。初キスや初体験の話は、まだ経験のない俺にとって刺激的過ぎて、勃起しているのを隠すのに必死だった。  彼女の話が終わって沈黙が訪れ、俺たちは自然にキスをしていた。人生初のキスは睡魔に襲われながらで、夢のような心地だった。そして、そのまま眠りに落ち、朝まで肩を寄せ合って眠った。  和葉と千宙はライブが終わって、新横浜まで腕を組んで歩いた。千宙は彼女のはしゃぎように戸惑ったが、女の子とこうして歩くのは久し振りで緊張していた。地下鉄を乗り継いで渋谷に着いたのは、午前3時を回っていた。そこからタクシーに乗って、彼女の家に行った。 ☆和葉☆ライブの興奮が覚め切れず、千宙君にベタベタとしてしまった。わたしから男子にこんな風にするのは初めてで、彼は困ったような顔をして固まっていた。両親は年末から海外旅行に行っており、二人だけの家で、彼は私の興奮を鎮めてくれるだろうか。もし最後まで求めてきたら、それに応じるつもりでいるが、まだ数回しか会っていないし、軽く見られるのもプライドが許さない。今日の予定はキスまでと決めていた。☆☆☆☆☆  和葉がキッチンで紅茶を入れて来ると、千宙はソファーに所在無げに座っていた。和葉はすぐ横に悪戯っぽく座り、 「まだ朝までは時間があるけど、何しようか?」と彼の反応を確かめた。さらに、「千宙くんは、女の子としたことあるの?」とたたみかけた。 「えー!それって、どういう意味ですか?」と訊く彼に、その意味を教えた。千宙は目を丸くして驚いていたが、そこからはお互いの恋愛話になった。 ☆和葉☆千宙君には少し刺激が強過ぎたみたいで、興奮が伝わってきた。彼の初恋は汚れがなく純粋で、これまでの私自身の行いに恥ずかしさを覚える。反面、彼を汚してやりたいという衝動に駆られた。中学時代の初恋、大学生になってからの緑川(みどりかわ)季秋(としあき)との初体験を赤裸々に語る事で、彼の反応を見て満足した。その後のキスは私から仕掛けたが、本当に初めてだったみたいで、唇が緊張しているのが分かった。☆☆☆☆☆  眠さに耐え切れずに目を閉じていた千宙に、和葉は自分からキスをした。彼は驚いて目を開けたが、初めてのキスは受けるだけで精いっぱいだった。そして、そのまま眠りに落ち、朝まで肩を寄せ合って眠った。千宙にとってのファーストキスは、欲望を目覚めさせて興奮をもたらしたが、それ以上の関係には到らなかった。眠りながら和葉を抱いている夢を見ていたが、朝目覚めると、実際に彼女の体の重みを受け止めていた。
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