17人が本棚に入れています
本棚に追加
<5月3日>七海に好きだと告げる
#今日は悪友の青柳郁也の計らいで、梅ちゃんと遊園地に行った。青柳は静波東高の真行寺花織と付き合っていて、その友だちが梅枝七海だ。というより、中3で転校してきた梅ちゃんとは中学の同級生で、俺はその時から彼女が好きだった。去年の夏に青柳と花火大会に出掛け、ナンパしたのが真行寺さんと梅ちゃんだった。運命の糸でつながっていたんだと大喜びして、俺一人が浮かれていた。中学の時にスカートをめくったのを覚えていて、彼女にその時の事を散々責められた。
遊園地の芝生で昼食を食べてくつろいでいると、青柳と真行寺さんがイチャイチャしているのが目に入った。梅ちゃんはというと、寝転がって眠っているようだったので、側に寄って顔をのぞき込んだ。目を閉じている顔が可愛らしくて見ていると、気配を感じたらしく突然目を開けて俺は顔を平手で叩かれた。別に何かをしようという気はなかったが、「ふざけんな」と言われてしまった。
遊園地の最後は、二人ずつで観覧車に乗った。俺はさっきの事もあって大人しくしていると、「反省してるなら、許して上げるよ」と言われた。気を良くした俺は今しかないと思い、梅ちゃんに「好きだ」と告白した。彼女は俺を傷付けないように「考えさせて」と言ってくれたが、振られる覚悟はできていた。外へ目をやると、青柳と真行寺さんがゴンドラの中で抱き合っているのが見えた。青柳の事が、うらやましかった。#
七海は昨年の暮れに親とけんかし、その時に相談相手になってくれた白石冬馬とは、春休みに1回会ったきりだった。その後も彼からは頻繁にメールが来たが、適当に返事をしていた。七海にとっては好きなタイプではなく、単なる男友だちの一人だったが、冬馬は七海が好きで盛んにアタックをしていた。一方、七海の友人の花織は、冬馬の友だちである静波北高の青柳郁也と交際しており、七海をダブルデートに誘った。
☆七海☆花織に強引に誘われて、遊園地に行くことになった。冬馬君には感謝しているし、1回だけのつもりで出掛けた。花織はどこが良いのか、北高の青柳郁也と付き合って半年以上になる。私の忠告を守ってキス以上の関係にはまだなっていないらしいが、相手はそれ以上を求めているようだ。☆☆☆☆☆
4人で電車に乗って、海の近くにある遊園地を目指した。花織のニットのセーターにミニスカートという服装に対して、七海はトレーナーにジーパンというガードの固い服装だった。遊園地に着いて、いくつかの遊具を巡り、昼食を買って来て芝生広場で食べた。七海はその場に寝転んで目を閉じている内に、眠たくなってうとうとしていた。しばらくして不穏な気配を感じて目を開けると、目の前に冬馬の顔があり、覆いかぶさるようにして大きな体が迫っていた。七海はびっくりして、思い切り平手で彼の顔を叩いた。
☆七海☆うとうとと眠ってしまい、気が付くと冬馬君の顔が目の前にあってびっくりした。しかも大きな身体が覆いかぶさっていて、油断もすきもない。思い切り平手打ちしたが、人を殴った事は初めてだ。彼は驚いて恐縮していて、やり過ぎだった事を申し訳なく思った。花織の事が気になって辺りを見回すと、少し離れた所で横になってキスしていた。人目も気にせずに、何をしているんだろうと腹立たしかった。☆☆☆☆☆
観覧車に七海は冬馬と乗る事になり、最上部に差し掛かろうとする所で、
「おれ、中学の時から梅枝のことが好きだった。おれなんか、相手にしてくれないと思って言わなかったけど、今はもっと好きだ!付き合いたい!」と冬馬は告白した。七海は彼の気持ちには前から気付いていたが、異性としての好きの範疇ではなかった。
「あ、ありがとう!そう言ってくれて嬉しいけど、考えさせて。」と、彼を傷付けないように、言葉に気を付けて答えた。
☆七海☆まさかと思ったが、冬馬君に告白されて今日は驚く事ばかりだ。今まで付き合いたいと思った事はなかったが、こうして真正面から告白されると動揺してしまった。付き合うって事は、花織と青柳君みたいに抱き合ったりキスしたり、わたしと冬馬君がするというのか、やはり想像できない。☆☆☆☆☆
観覧車の中で郁也は、花織のミニスカートの中へ手を入れていた。花織は言葉では拒否していたが、久し振りのキスとペッティングに感じていた。
「今度の土曜に、俺の家に来いよ!花織の好きだというバンドのライブ映像が手に入ったから、一緒に観ようぜ!」という彼の誘いに、彼女は一つ返事で「観たーい!行くー!」と答えていた。
最初のコメントを投稿しよう!