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<5月13日>花織を危機から救う
#梅ちゃんには結局振られてしまったが、遊園地は楽しかった。観覧車で二人切りになった時は、早鐘のように胸がドキドキした。青柳は真行寺さんと復活したようで、彼女を抱きかかえるようにして帰って行った。俺と梅ちゃんの中を取り持とうと、ダブルデートを計画してくれた青柳にその時は感謝していた。しかし、連休明けに学校に行って、俺のためではなかった事に、お人好しの俺でも気付いた。
青柳がいつもの奴らに、今度の土曜日に花織ちゃんを家に呼んで、犯す計画を自慢そうに話していた。しかも、皆で廻すのどうのと聞こえてきた。花織ちゃんがわなにはまろうとしているのを放って置けず、すぐに梅ちゃんに報告した。彼女はびっくりして声を失っていたが、自分が何とかするからと言っていた。俺も青柳とは、付き合わないようにしようと思った。#
郁也の家に誘われた日、花織は家に帰ってから冷静になって考えた。
「郁也の家でDVDを観るのは良いが、いつものようにキスをされて体に触られたら、わたしは変になってしまう。その後でエッチを迫って来る事は予想が付くし、逃げられない状況の下で無理矢理犯されたらどうしよう。」と後悔していた。
☆七海☆冬馬君からの報告には、驚かされた。やっぱりあの青柳は、とんでもない奴だった。何とか花織を説得して、あいつの陰謀を阻止しなくてはいけない。泣くのは花織なんだから。☆☆☆☆☆
花織は思い悩みながら1週間を過ごし、いよいよ明日だという日の放課後、七海に話があるからと呼び出された。
「明日、青柳君の家に行くの?そんなの絶対だめだよ!どう考えても、下心見え見えでしょ!花織はあの人と、セックスしたいの?」と唐突に言われ、花織は戸惑っていた。なぜ明日の事を知っているのかと訊くと、七海は冬馬が心配して連絡を寄越した事を告げた。
☆七海☆この子は能天気というか、世間知らずなのか、すきだらけで危なっかしい。別にセックスがしたいという訳でもないらしく、男の誘いに流されやすいのだろう。少しは痛い目に遭った方が彼女のためかもしれないが、青柳みたいな奴に思うようなさせてはいけない。☆☆☆☆☆
花織は郁也の計画している事を七海から聞き、足が震えて立っていられずにひざまずいていた。七海がやさしく慰めてくれたが、口惜しくて情けなくて涙が止まらなかった。郁也にはメールで行かないと断り、着信拒否に設定し、連絡先を消去した。後で何かされるのではないかと案じていたが、何も起こらずに別れる事ができた。
七海は冬馬からの告白の返事をしないまま、夏休みを迎えていた。
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