絶望と希望

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 36枚のパネルは半分以上が黒く塗りつぶされており、原画と見比べながらとりあえず、上から元の色を塗っていくことになった。  でも、黒く塗りつぶされた絵には、素人が見て「ここは何色」と簡単に判断できるような手掛かりは一切残っていない。一から作り直すのと大差ないのではないかと思えるほど、修正に時間が掛かっていた。  クラスの中に力を合わせて直そうというような雰囲気はなく、戸惑いや焦りが見え隠れしている。  このままだとまずいなと思っていた矢先、「あーもうやってられねぇ」と苛立った声とともに大きな音が響き渡った。  体育館の中がシンと静まる。手を止めて声のした方に顔を向けると、体育館の出入り口へと大股で歩き出す武田と、その後を追い掛けていく凛ちゃんの姿が目に入る。 「おい、なんかやばいんじゃね? どうするんだよ、陽」  隣にいたうっちーがおろおろ声で言うのを、背中で感じながら2人の元へと足を進める。  凛ちゃんは出ていこうとしている武田に向かって必死に説得をしているが、興奮している今の武田にとって恐らくそれは逆効果で、再び大きな怒鳴り声が体育館の中に響き渡った。 「武田、ちょっと落ち着けって」  2人の間に割って入る。凛ちゃんは身を強張らせていて、武田は肩で息をしながら俺を睨みつけた。
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