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プロローグ
俺たちははぐれもの同士だった。
埋められない喪失感の先を探して、どうにか埋めたくて、でも埋められなくて。
空回りばかりの毎日に、春の夜風は少し冷たすぎた。
出逢えたのは勘違いと偶然の賜物で。
最初はたぶん君のこと、大切でもなんでもなくて。
ただ空虚な胸の穴を、どうにかしたくて。
俺は君の温もりを求めた。
健全なんかじゃない。
もっとまともな恋なんて、探せばいくらでもあった。
あの人の面影を追う俺を、それでも君は抱き締めてくれた。
それは、幼い頃の記憶にどこか酷似していた。
母を失ったあの日、土砂降りの雨の中で見た向日葵畑のように。
君の泣き笑い顔に俺は恋をした。
手と手を重ね合わせ、それからどこまでも優しいキスをしよう。
何度だって。
君の白くて柔い肌が俺の手のひらに吸い付く。
君の艶めいた金色の髪が俺の指先をすり抜けていく。
汗と吐息が混ざり合って、少し胸が痛む。
どれだけ身体を重ね合わせても、俺たちはひとりぽっちだ。
子どものままごとみたいに、無邪気に愛を囁こう。
不器用な俺たちに唯一出来る恋の真似事。
流れ星を見つける度、俺たちは額をくっつけて笑い合った----。
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