15

5/5
前へ
/121ページ
次へ
「でも、ねえ、先生、僕、まだ先生の生徒ですよね? 生徒でいる限りは、教えてくれますよね?」 「……え?」  おっと。  そちらの方向から攻めて来たか。これは釘を刺しておかないと。 「いえ、結婚式でセテンブロの弾き語りを披露する、っていうあなたのミッションは、終わったはずでしょ?」   「でも、僕、ピアノの楽しさに目覚めてしまったみたいです。だから、もっとピアノ習いたいんですよね~。もちろん月謝は払いますから、これからも先生にピアノを教えて欲しいんですけど~」 「……」  やられた。  そんな風に言われると、こちらも断りづらくなってしまう。 「……先生と生徒の間をはみ出さない、と誓ってもらうなら、結構です」  言ってしまった。 「やった!」宮内さんが子供のような笑みを浮かべ、頭を下げる。「それじゃ、今後ともよろしくお願いしまーす!」  ……。  やれやれ。ま、こんなところかな。 ---
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

262人が本棚に入れています
本棚に追加