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「まさか……二人同時進行だったとはねえ」
書類のファイルを開いた私は、心の動揺を隠し、落ち着いた態度でため息をついてみせる。
実家の応接室。とりあえず調査が一段落ついたので、それをまとめた書類を松田さんが持ってきてくれたのだ。
「やはり、ショックですか?」
松田さんが首をかしげた。
「まさか。もうね、今さら何があっても驚きはしません。ただ、呆れて物が言えないだけ」
無理矢理笑みを作り、穏やかに応える。もちろん本心は全く穏やかじゃない。だが、確かに私は呆れていた。
レスが続いていたのは祐介さんが衰えたからではなかった。ただ、私にその情熱を向ける余裕がなくなったか、単純に私に飽きてしまったのだろう。いずれにせよ屈辱的なことには相違ない、が……
悔しいことに、この二人とも私にない魅力を備えているように見える。まず、二人は私よりは間違いなく若い。そして、二人の胸は共にはち切れそうに膨らんでいる。
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