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「それで、こちらの『中田 志穂』の方なんですけどね」松田さんがもう一つのファイルをめくりながら言う。「一年前に患者の立場で旦那さん……いや、祐介さんと出会って、こういう関係になったようなんです。んで、彼女、どうも、本気で祐介さんと結婚を考えているみたいで……彼が妻帯者だとは気づいてないような感じなんですよね。中学の英語教師で、真面目な人みたいですから」
「そう……だとしても、不倫は不倫だからね。一応内容証明は送っておきます。こちらの『島田 飛香』の方は……正しい使い方じゃないけど、『確信犯』ね」
「ええ。そりゃ同じ病院に勤める看護師ですからねえ。祐介さんの個人的事情もよく知ってるでしょう。録音もお聞きになったかと思いますけど、間違いないですよ」
「そうね……『あんなババアとは早く別れてよ』って……思いっきり言ってたっけ……」
今の私の顔は、きっと憎悪で醜く歪んでいるのだろう。松田さんの顔が少し引きつっていた。
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